カジノにストリップ。ラスベガスで痛い目に遭った話。3/3話
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ラスベガスで初体験のストリップクラブに行ったら、あれよあれよという間に女の子にVIPルームに連れてかれてしまった僕は、300ドルを払ってすごいサービスを見るか否かの究極の選択に迫られていた・・・。
前回の話はこちら↓
払うかどうかを考えつつ、とりあえず300ドルをちゃんと持っていることか確認するため、ポケットにはいっていたサイフを出してみた。
(うん、300ドルはギリあるな・・あっ。)
お札を出した瞬間、ストリッパーの女は僕の手から金をむしりとった。
僕:「ちょっ、まっ!」
いろいろ言いたいけど、うまく英語がでてこない・・
(まじかよこいつ。どんだけ強引?)
でもいいや、この300ドルと引き換えに僕はすごい体験ができる。
しっかり300ドル分楽しませてもらおうじゃないの!
僕は腹を決めた。もういくとこまでいってやると。
ストリッパーに300ドル払うことを了解すると、「オッケー」って言って彼女は立ち上がった。
まずビキニの下を脱ぐ。
僕:(きたあああああああ!)
テンションが上がった。
女はそれを手で隠しながらクラブに流れているBGMの音楽に合わせて動き始める。
ついにアメリカ女が本気を出したぞ。いっ、一体何がはじまるんだっ?
僕は高揚していく・・・
彼女は途中くるりと後ろを向いてお尻を見せたりとしながら、少しづつ動きが激しくなっていく・・。
動けばうごくほどいろいろ見える。
これからさらに激しいダンスがはじまるのか・・。もしかして、あの、客にからみつく感じのやつとかやるのだろうか?
(僕はいい感じにじらされている・・・)
期待はどんどん高まっていく・・・。
(い、いったいなにがはじまるんだ?)
すでに10分くらいが経過しただろうか。ついに彼女が言い放った。
女:「はい、終わりー。」
は?
女:「チップ払ってね。」
え?
女:「チップは300ドルね。」
は???
いや、待て待て。
「はい、終わり」ってさ、まだ10分くらいしか経ってませんけど?
ていうか君いま何してたの?
ただまっ裸で踊ってただけじゃね?
てか踊ってもないわ。揺れてただけだわ。
ていうかさ、
チップ300ドルってなによ?
あのさ、きみ覚えてるよね?
おれ、たった10分前にあなたに300ドルむしりとられてるんだよね。
そっから10分たってまだ300ドルよこせだと?
10分で600ドル払えってことか?
600ドルって日本円で6万円だよ?学生の1カ月のバイト代だよ?
30分で300ドルの話はドコいったんだんだよ?
てか300ドルなんてお金もう無いんですけど?
この時点で完全にカモられているのを確信していた。僕らは、超スーパード級のぼったくりストリップクラブに来てしまったのだ。
この女振り切って逃げるか?そんな考えが頭に浮かんだ。
いや、でもさすがにそれは無理だ。入り口には屈強な黒人ガードマンたちが待機している。無茶したらぶち殺される。だってここアメリカのラスベガスだもん。
横着はできないので、お金がないことを装うしかなかった。
僕:「もうお金が無いからさ、チップは・・・」
女:「いやいや、クレジットカードくらいもってるっしょ!」
被せ気味に言ってきた。
いやいや。チップとかクレジットカードで払うもんじゃないっしょ。。
僕:「ほ、ほんとに無いんだよう。」(完全にのび太状態。)
女が諦めないので、財布を開いて本当にカードというものをもっていないことを見せた。
本当は足のふくらはぎあたりにゴムバンドでキャッシュカードを止めていたのだが、これだけはバレるわけにはいかない。いざというときのために隠しといてよかったと心底僕は思った。
女:「今時アメリカでクレジットカード持ってないなんてありえんわ。」
そんなことを言いながら、彼女は僕が帰りの交通費のためにとっておいた残りの60ドルを見つけそれを僕から取りあげた。
これで50ドル(入場料)+20ドル(コーラ代)+300ドル(ストリップ10分)+60ドル(チップ)の合計430ドルをカモられて、完全なる無一文になった。
なのになぜか女は、すごく機嫌損ねていた。
最悪だった。
仕方ない。帰りの交通費はザリガニさんに金を借りよう。ここはもう一刻も早く出たい。
こいつらはもう客を金として見てないとかいうレベルではなく、客が持っているお金は全部自分のものだと思ってるんだろうな。
一文無しになってボーゼンとしている僕に対して最後にその女は言った。
女:「Bad tip.(ひどいチップね。)」
10分で360ドルも客から奪っておいてこの発言。お前、逆にスゲーわ。
人生最大の敗北感をありがとう。
そのメンタリティ、勉強になったわ。
こうして僕は無事に、白人ババアの裸を360ドルで見ることができたのである。
カジノでボロ負けし、ストリップクラブでぼられまくった1日。
もう死ぬほどどうでもよくなっていた。
プライベートルームからクラブのオープンスペースに戻ると、ザリガニさんはまだ一人で座っていた。そりゃそうだ、あれから10分そこらしか経ってないもんな。よかったよかった。
後から話を聞くとザリガニさんのところにも何度も他のストリッパー達が寄ってきてプライベートルームに連れてこうとしてきていたらしい。なるほどね、それがここの常套手段だったのだ。
幸いにもザリガニさんはすべて頑なに拒んだという。なんとも賢い判断を下していた。
もうこんなクソみたいな所に残る理由は1ミリもなかったので、僕らはさっさとお店の外にでた。
外にはタクシーが止まっていて、さっきとは違う黒人の運ちゃんが立っていた。
運ちゃん:「ヘイ!このクラブはどうだったかい?」
僕:「ありえないくらいクソFUCKだったよ。」
運ちゃん:「I Know!」
知っとるんかい。ほんとに有名なぼったくりクラブだったんだな。あのクソニガ運転手め。
明らかに、今日最初にタクシー運転手にストリップクラブのおすすめを聞いた時点で僕らのやり方は間違っていた。タクシーの運ちゃんはカモを見つけてこのクラブに連れていけばキックバックが貰えたのだろう。
外国を旅する時、こうやって観光客を騙してお金を取ろうという輩はいくらでもいるのだ。いま思えば当たり前のことなのだが、この時の僕らはあまりにも旅慣れをしていなくて、そんなことすら知らなかった。無知というのは怖いものだ。
クラブの外にいた運転手はまともな人で、ここからすぐのところの絶対に間違いない優良店に連れてくと言う。
次はもうさすがに騙されることはない。怪しければ即刻立ち去ろうと決めて、僕らはそのまま運転手に別のストリップクラブに連れてってもらった。
運転手の言った通り、こちらのクラブはさらにでかいクラブで一般客がたくさんはいっていて完全にクリーンなところだった。
入場料はたった30ドル。店内で飲むドリンクも納得できる金額だった。
ザリガニさんはまだ持ち金に余力があったので、ここでそれなりにお楽しみになっていたが、僕はもう無一文なので、ザリガニさんに借りたお金でビールだけ買って、ひとりで飲んでいた。
まわりで踊っている数十人というストリッパー達の姿を横目に。
ただひたすらに、ムラムラした。
ビールを飲みながら、もうこの旅では誰も信じないと心に決めた。
僕は日本という国に生まれ、なんて純粋に生きてきたんだろうと考えた。
ぼったくりでも詐欺でも日本にだっていくらでもあるが、ここまで日常的に嘘をついて人から何かを奪おうとするやつらはそうはいない。
アメリカがクソっていうよりも日本が平和ボケするくい安全で治安が良い場所なんだろうなとつくづく思った。
今日は1日で1000ドル(約10万円)も失った。
ギャンブルとストリップで。
絵に書いたような糞野郎だった。
これが本当の勉強代というやつだ。
だが、僕がもう少し賢明でさえいれば、別に払う必要もない無駄に高い勉強代だった。
いろいろと思いにふけっていると、いつの間にかザリガニさんが戻ってきていた。
2人でお店を後にして外に出たところで、ザリガニさんは言う。
ザ:「僕もお金全部なくなっちゃいました。」
おまえもかい。
やっぱりザリガニさんも糞野郎だったようだ。それも当たり前、僕らは生まれて23年間ずっと一緒にいた仲なのだからね。
結局、二人の残った小銭を合わせてもバスには乗れなかった。無一文中の無一文だった。
そして僕らは1時間以上歩いてモーテルに歩いて帰ったのである。
もう、この日はふて寝したよね。
おしまい。
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